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自民党デジタル社会推進本部 web3PT「トークンビジネスの監査」でご意見申し上げました

先日、平井卓也デジタル社会推進本部長、平将明web3PT座長、塩崎彰久web3PT事務局長をはじめとした自民党の先生方、金融庁、経産省の関連部局の幹部の皆様。まさに国のデジタル戦略の中枢の方々を前に「トークンビジネスの監査」というテーマで私見を述べさせていただいた。

かねてよりweb3を本格的に社会実装させるには「会計と監査がボトルネックになる」という問題意識を強く持っており、ここ1年ちょいとの間ずっとこの問題を主張してきた。幸運にもその声を拾っていただき、機会をいただくことにつながった。

2017年から2022年夏まで

そもそも社会制度改革といったときに大きな柱は規制(過剰な規制があること、もしくはルールが全くないことも含む)。

つまり法律の議論が中心となる。

事実、暗号資産、クリプトという分野においても、まずは法律が制定され、法律に基づき規制が敷かれることになった。

賛否はあるものの何はともあれ、法律によりルールが決まった。

時を同じくして、このクリプト・暗号資産の議論に上がってきたのは税金。

つまり、課税の議論。

2017年当時の結論は広く課税の網を張る方向に振り切った。

あくまでも結果論だが、この議論と意思決定が未来に禍根を残すことになった。「日本の税制は酷くて事業ができるレベルではない」と。

まぁ、いずれにせよ2017年時点で法と税の制度が整備された。これでいよいよクリプトレディな状態。その矢先に大規模ハッキング事件が発生。

そこから長い冬の時代が続いた。市場からも多くの投機家が抜け、社会から忘れ去れていた。

しかし、その冬の時代も着々と技術開発は進み、DefiにNFTといよいよクリプトを活用したビジネスが誕生してきた2021年。

ここで持ち上がってきたのは、過去に「広く課税の網を張る方向に振り切った」課税の議論。

この税制のせいで日本ではクリプトビジネスはできない。若いタレントが海外流出が続いた。

何とかせねば失われた30年が40年50年と未なり、来に渡って二度と立ち直れないかもしれない。2022年前半税制改正の議論が急ピッチで進んだ。

何とか税制改正の目途が立ってきた2022年夏以降。ホッと一息という状況の中、次に立ち上がってきたのは会計と監査の問題。これまであまり議論されてこなかったが、どうやら現場では大きな問題になりかけていた。

会計と監査の問題とは

2022年8月後半。暗号資産の税制改正要望の概要が読売新聞によりスクープされた。そして、2022年8月31日金融庁と経産省から税制改正要望案が正式にリリースされた。この1年ずっと議論されていた暗号資産に対する課税が一部免除されるという趣旨の改正だ。

画期的な税制改正であることは間違いなかった。イノベーションが進むと多くの人は思ったはずだ。少なからずSNS上ではそんなコメントで溢れた。

でも、僕はそんなに甘くはないと思った。会計と監査の問題が放置されていたからだ。

僕が認識していた問題は以下の通りだ。

会計:詳細なルールがない。

監査:詳細なルールがない。

いずれも「詳細な」ルールが全くないのである。

少し丁寧に解説すると、一般的なルールはある。しかし、クリプト・トークンを対象にしたルールがないという状況である。

僕の15年ほどの会計士のキャリアで培った感覚からすると、一般的なルールだけでは全然不十分で、クリプト/トークンを対象にした詳細なルールがないと実務は回らないと思っていた。よって、ルールを作ること。そして、ルールを作るだけでは不十分で、そのルールを理解できるレベルまでクリプトの理解を上げること。この2つを主張してきた。

しかしながら、なかなか詳細なルールはできないし、対応している感じも見受けられない。これがルールの話。

それでは、現場はどうなっているのか?

トークン発行すると監査契約してもらえない。会ってもくれない。もはや門前払い状態。

上場会社がトークン発行の相談を監査法人にすると、監査契約の打ち切りを仄めかされる。そんな話を複数から聞いたし、酷い文面のメールの画面も見せてもらった。

実務も全然増えていく状況ではない。これでは現場に知見がたまらない。

これが、2022年に僕が見てきた会計と監査の現状だ。

web3PTの議論

このような状況を看過できずにツイッターで騒いでいたら、今回自民党、政府行政に声が届き、web3PTにお声かけいただいた。これが僕が自民党の部会にお呼ばれした経緯だ。

web3PTで僕が主張した会計・監査の問題として起きている事象は上述のとおり。その背景にある要因は以下の通り。

・会計基準の未整備、監査手法の未確立

・ブロックチェーンの特徴である匿名性が粉飾に利用される可能性が高い

・スマートコントラクトを監査できるチームが監査法人に存在しない

・ホワイトペーパーが曖昧で、会計処理のエビデンスにならない

・会計士の知見不足

 

以下、自民党に提出した資料。

https://drive.google.com/file/d/1QKrdlh61igHG2c1JvLHyt9iRoGm0qf0k/view?usp=share_link

 

実際のweb3PTの中で「問題は根深い。税がボトルネックだと思っていたが、会計と監査がボトルネックになり得る。」との声も出た。構造的なかなり深刻な問題であることは伝わったみたいだ。

一方で、関係者で問題意識は共有されて、皆様と前に進めていくことについてコンセンサスを取ることもできた。

課題が関係者が揃った場で認識され、皆の共通理解となった。大きな一歩だ。これから急ピッチに制度改革の議論が進んでいくだろう。

もちろんお声かけいただければ、僕も尽力したいと考えているし、何より現場において知見が溜まっていくことが一番だと思うので、ここにコミットして今後も活動していきたい。

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